スペイン語を学び始めようと考えている人のなかには「スペイン語の発音って難しい? それとも簡単?」と不安に思っている人もいると思います。
ちなみに僕にとって、スペイン語は英語、ドイツ語、フランス語に次いで学習歴が長い言語です。自分のアイデンティティーの一部と言っても過言ではありません。
ここでは、スペイン語の発音について解説します。
覚えておきたいフレーズも紹介しますので、ぜひご活用ください。
目次
スペイン語の発音って難しい?簡単?
スペイン語は比較的日本人が発音しやすい言語といわれており、そんなスペイン語の中にも、日本人が発音するのが難しい音があるということが、まことしやかに囁かれています。
そもそもスペイン語に限らず、どのような言葉を学ぶにせよ、母国語(日本語)の音韻体系と無意識に比較する癖から解放されない限り、大きな進歩は望めません。
つまり、スペイン語の音を「あるがままに捉える」、言い換えれば「正しく耳にする」ことが全ての出発点になります。
「l」と「r」の発音の違い
スペイン語でも英語同様立ちはだかるのが「l」と「r」の壁であり、英語でも両者の違いが分からないと悩んでいる人は多いと思います。
この問題の解決策となるのは、スペイン語の「l」は舌先を上あごの歯茎につけて、舌のすき間から息を吐き出すようにして発音するのに対し、「r」ははじき音と呼ばれ、舌先で上あごの歯茎をピンとはじくようにして発音することだと言われています。
ただ、舌の位置や動きに特化した小手先だけのテクニックでは根本的な解決にはなりません。
フランスの耳鼻咽喉科医師であり言語学者でもある故アルフレッド・トマティス氏が発見した法則の一つに「聞こえない音は絶対に発音できない」というものがあります。この法則に例外はありません。
つまり、スペイン語の音声的特徴を学習者の聴覚器官が正確にキャッチできていない状態で、いくら舌の位置や動かし方を工夫したところで無駄だということです。
そもそも、舌の位置や動きというのは、人間の発声という行為のごく一部を切り取って観察した結果にすぎません。そこには、呼気や吸気の流量・流速、横隔膜の緊張・弛緩、頭蓋骨や背骨の振動、発話者の身体的な姿勢といった要素が全く考慮されていません。
スペイン語を「正しく聞き取る」ができれば、それを「正しく再現すること」は難しくありません。
では「正しく聞き取る」ために何が必要なのでしょうか?
「体感語学の中村屋」では二つの要素が重要だと考えています。
一つ目は、学習者の興味を刺激するような内容の音声を聞かせること、二つ目は、学習者の心身のバランスが保たれているタイミングを狙うことです。
「rr」の発音
スペイン語を勉強する日本人にとって「l」と「r」同様に立ちはだかるのが、巻き舌の「rr」であり、例えば「ぶるん」と言うと、「る」と「ん」の間に、空気を爆発させるような破裂音があり、この部分が巻き舌ですなどと解説されることがあります。
しかし、これも「スペイン語の音声の聴覚記憶」が確立されていない状態での悪あがきと言えるでしょう。
「正しく聞ける」ようになった次の段階では、「rr」などといった個別の音素を意識するのではなく、スペイン語の音の大まかな流れを意識して「リッスン&リピート」を丁寧に実践すれば、スペイン語を構成する全ての音素を、スペイン人のように発音できるようになります。
覚えておきたい数フレーズ
初めてスペイン語を学ぶ人が覚えておきたいフレーズを紹介します。
以下、便宜的にカタカナ表記を用いてスペイン語の音を説明します。カタカナはあくまでも、スペイン語の音を日本語の音に近似したものに過ぎないということを決して忘れないようにしてください。
スペイン語の音を正しく聞き取れるようになるまで繰り返し聞くことが、スペイン語学習の大前提となることは言うまでもありません。
はい、いいえ
スペイン語で「はい」は「Sí(スィ)」、「いいえ」は「No(ノ)」と発音します。
Sí
No
やぁ!
スペイン語で「やぁ!」は「¡Hola!(オラ)」。
「H」が含まれていますが、この部分は発音せず「オラ!」と言います。
¡Hola!
さようなら
「さようなら」「またね」を意味する言葉が「¡Chao!(チャオ)」ですが、これ以外に日本では「¡Adiós!(アディオス)」が有名ですね。
しかしながらこの「¡Adiós!(アディオス)」は長期的な別れのときに使う挨拶であって、平時に使う「バイバイ」や「さよなら」と同義ではありません。
¡Chao!
¡Adiós!
おはよう、こんにちは、こんばんは/おやすみなさい
「おはよう」は「Buenos días.(ブエノス ディアス)」、「こんにちは」は「Buenas tardes.(ブエナス タルデス)」、「こんばんは/おやすみなさい」は「Buenas noches.(ブエナス ノーチェス)」です。
スペイン語の「Bueno」は「良い」という意味の形容詞で、修飾する名詞によって“bueno”、“buena”、“buenos”、“buenas”と変化します。
Buenos días.
Buenas tardes.
Buenas noches.
また明日
「また明日」は「Hasta mañana.(アスタ マニャーナ)」です。
「Hasta」という単語は他のフレーズでも使われます。「またね」だけだと「¡Hasta luego!(アスタ ルエゴ)」、「(近いうちに)またね」は「¡Hasta pronto!(アスタ プロント)」、「(次の機会まで)またね」では「¡Hasta la próxima!(アスタ ラ プロクシマ)」となります。
Hasta mañana.
¡Hasta luego!
¡Hasta pronto!
¡Hasta la próxima!
スペイン語の発音とフレーズを覚えて、話せるようになろう!
スペイン語の発音や覚えておきたいフレーズについて解説しました。
スペイン語の発音は基本的にローマ字読みなため、発音しやすいと感じる日本人が多いようですが、このような思い込みが後々の進歩の妨げになる可能性もないとは言い切れません。
日本語の音との表面的な類似性に目を奪われるのではなく、全身の神経を研ぎ澄まして、スペイン語の音声に耳を傾けることが大切です。
ぜひスペイン語をマスターして、新しい世界への扉を開きましょう。