ルーマニアではどのような言葉が使われているのだろう、と気になっている人もいると思います。
ルーマニアの首都ブカレストは、20世紀の初頭に「小パリ」と呼ばれていました。実際、僕は1996年の春にブカレストで凱旋門を見た時は、パリの凱旋門のスモールバージョンという印象を受けました。
また、1989年12月のルーマニア革命の際に、チャウシェスク政権が打倒され、チャウシェスク夫妻がヘリで逃亡を図った際の映像が目に焼き付いて忘れられない方も多いのではないでしょうか。
さらに、ルーマニアと言えば、第二の都市ブラショフにあるドラキュラゆかりのブラン城が有名ですね。
近年はファンファーレ・チョカリーアというルーマニア出身のロマ(ジプシー)によるブラスバンドが世界中で人気を博しています。気になる方はこちらの記事をご覧ください。
僕自身は2010年10月から、本腰を入れてルーマニア語を学んでいます。 ここでは、ルーマニア語について簡単に解説するとともに、知っておきたい基礎フレーズ7選もお伝えします。
ルーマニアの言葉「ルーマニア語」とは
ルーマニアの公用語であるルーマニア語は、インドヨーロッパ語族のロマンス語派(フランス語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語など)に属しています。特にイタリア語との類似性が顕著であると言えるでしょう。
ところがルーマニアは地理的に東欧に位置しているため、スラブ語起源の単語が結構ルーマニア語の語彙に入ってきています。例えば「イエス、ノー」の「イエス」はルーマニア語で「da」(ダー)と言います。これはロシア語の「да」を彷彿とさせます。
また、ルーマニア語で「天気」は「vreme」(ヴレメ)、「愛する」は「a iubi」(ア イウビ)と言いますが、やはりロシア語で時間を意味する「время」(ヴレミャ)や愛するという意味の「любить」(リュビチ)をそれぞれ連想させます。
そして、ルーマニアでは日本と同じように名前を名乗るときに「姓・名」の順番で言います。そういう意味でも、ルーマニア語は、私たち日本人にとって親近感を持てる言語であると言えるかもしれません。
知っておきたいルーマニア語のフレーズ7選
ルーマニアでよく使われる7つのフレーズを紹介します。
便宜的にカタカナ表記を用いてルーマニア語の音を説明します。ただし、カタカナはあくまでも、ルーマニア語の音を日本語の音に近似したものに過ぎないということを決して忘れないようにしてください。
正確な発音を身に付けることができるように、音声合成エンジン「音読さん」を使って作成した各フレーズの音声を聴けるようにしてあります。参考にしてみてください。
- 1.Bună ziua.(ブナ ズィウァ):こんにちは。
Bună ziua.(ブナ ズィウァ)はルーマニアにおける最も一般的な日の挨拶です。「(あなたに)良い日を望みます。」という意味です。
「こんにちは。」以外の主なあいさつのフレーズとして、以下があります。
◆ルーマニア語の主なあいさつのフレーズ◆
Bună dimineaţa. (ブナ ディミネヤツァ)…… おはようございます。
Bună seara. (ブナ セヤラ)…… こんばんは。
Noapte bună. (ノアプテ ブナ)…… おやすみなさい。
La revedere.(ラ レヴェデレ)…… さようなら。
- 2.Ce mai faceţi? (チェ マイ ファチェツィ):お元気ですか?
Ce mai faceţi? (チェ マイ ファチェツィ)は相手の調子を尋ねるフレーズです。
元気であれば、Sunt bine. (スント ビネ)「元気です。」と答えましょう。
調子が悪い場合は、例えばDin păcate nu sunt bine. (ディン パカテ ヌ スント ビネ)「あいにく調子が良くないです。」と答えればよいでしょう。
- 3.Mă bucur că vă văd. (マ ブクル カ ヴァ ヴァド):お会いできて嬉しいです。
初対面の時の定番のあいさつです。
ちなみに誰かに久しぶりに会ったときは、Nu ne-am văzut de mult.(ヌ ネヤム ヴァズト デ ムルト)「お久しぶりです。」と言います。
- 4.Mulţumesc. (ムルツメスク):ありがとう。
ルーマニア語で感謝の意を伝えたいときはMulțumesc. (ムルツメスク)「ありがとう。」を使いましょう。
感謝の気持ちが大きければ、Mulțumesc foarte mult. (ムルツメスク フォアルテ ムルト)「どうもありがとうございます。」と言うこともできます。
ちなみに主語が複数(私たちは…)の場合は、Mulțumim.(ムルツミム)と言います。
ルーマニア語でこのようにお礼を言われたら、Cu plăcere.(ク プラチェレ)「どういたしまして。」と答えましょう。
- 5.Scuze. (スクゼ):ごめんなさい。
何か悪いことをしてしまったときは、Scuze! (スクゼ)「ごめんなさい。」と言って許しを請いましょう。
相手を許すときは「何でもありません。」あるいは「構いませんよ。」という意味のNu face nimic. (ヌ ファチェ ニミク)を使います。
- 6.Cum vă numiţi? (クム ヴァ ヌミツィ):あなたのお名前は?
相手の名前を尋ねるときは、Cum vă numiţi? (クム ヴァ ヌミツィ)「あなたのお名前は?」を使います。
自分の名前を言うときは、Mă numesc ○○.(マ ヌメスク…)「私の名前は~です。」と答えればよいでしょう。また、Numele meu este ○○.(ヌメレ メウ イェステ…)と答えても構いません。
例えば僕の場合であれば、Mă numesc Nakamura Takuo.(マ ヌメスク ナカムラ タクオ)あるいは「Numele meu este Nakamura Takuo.」(ヌメレ メウ イェステ ナカムラ タクオ)と言います。
- 7.Da.(ダ) Nu.(ヌ):はい。いいえ。
ルーマニア語で肯定の答えはDa.(ダ)「はい。」です。
否定の答えはNu.(ヌ)「いいえ。」です。
ルーマニア語を覚えて、ルーマニアの人たちとの交流を深めよう!
いかがでしたか?
ルーマニア語について新しい発見がありましたか?
ルーマニア語はその美しい音楽的な響きが魅力的な言語で近年学習者が増えています。
ロマンス語派の言語(フランス語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語など)の学習経験者にとっては、比較的学びやすい言語と言えるかもしれません。
なお、簡単なフレーズを覚えるだけでなく本格的にルーマニア語を学習してみたいという方には、「ニューエクスプレスプラス ルーマニア語」(白水社)がお勧めです。
ルーマニア語を学習する上で欠かせない基本的な文法事項が一通り、丁寧に解説されています。 また、ネイティブのルーマニア人によって吹き込まれた会話文や練習問題の音声は録音の質が高く、ルーマニア語の「耳作り」に最適です。