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なぜネイティブの発音に慣れることが重要なの?
英語学習において、「発音」は避けては通れない課題の一つですよね。英語に限らず、人間の言語はすべて「音」が出発点となります。近年こそ、読み書き偏重の教育からの脱却、つまり音声教育の重要性が叫ばれていますが、英語教育に携わっている知人の話によると、「聴くこと」や「発音すること」はまだまだ「オマケ的な位置づけ」なのだそうです。
あまり知られていないことですが、私たちが母国語を習得するプロセスは、胎児の時期、つまり私たちがお母さんのお腹の中にいる頃からすでに始まっています。
トマティス博士は、母語の学習はすでに母親の胎内から始まっていることを解明しています。博士は、聴覚の発達を研究していくうちに、胎児はすでに四か月半から内耳が機能していることをつきとめましたが、その後、大学や病院で実証され、現在では胎教の大切さが提唱されています。胎内で聞こえる母親の声で、ことばへの手ほどきを受け、生後数週間目から二歳くらいまでに聴覚のシステムができあがります。この段階では「話す」ことよりも「理解」が先行して発達していきますが、幼児の耳が解読できるのは、話し声のリズムやイントネーションなど、ことばのメロディの部分です。赤ちゃんにとって、ことばは最初は音楽と同じなのですが、人間の歴史も太古まで遡ってみますと、「はじめに音楽ありき」で、言葉はメロディでした。まだことばをもつ前のヒト属最古の先祖アウストラロピテクスは、小鳥のように歌を歌ってコミュニケーションを取り、未開人の頃になって旋律に初めてことばがつけられています。ことばがわからなくても、その旋律だけである程度のコミュニケーションはできるのです。
「トマティス流 最強の外国語学習法」村瀬邦子著(日本実業出版社)より引用
私たち人間を他の動物と区別する最も顕著な特徴は「言葉を使う」ことであり、胎児の段階ですでに「その言葉をキャッチする耳」という器官が発達しているということは、耳からの言語学習がより本質的であることを物語っています。
さて、私たちの多くにとって最初の外国語である英語の発音という問題を考えるとき、日本語にはない音や発音ルールに苦戦することが多いと言われます。 この問題を解決する鍵として認識しておかなければならないのは、「英語は一枚岩ではない」ということです。
英語はそれを話す誰とでも100%コミュニケーションできるようなきっちりした体系ではありません。このことはコンピューターで簡単に確かめることができます。マイクロソフトのワードを開くと英語の種類が選べるようになっています。主な二つはイギリス英語とアメリカ英語ですが、ほかにも標準的なイギリス英語以外の英語を使う人のための設定がたくさんプログラムに組み込まれているのです。
「イギリス英語の悪口雑言辞典」アントニー・ジョン・カミンズ著(東京堂出版)より引用
🇬🇧イギリス人が話す英語、🇺🇸アメリカ人が話す英語、🇦🇺オーストラリア人が話す英語、🇮🇳インド人が話す英語、🇨🇦カナダ人が話す英語、🇮🇪アイルランド人が話す英語などは、それぞれが独自のパスバンド(優先的に使用される倍音の周波数帯)を持っています。
戦後、日本の英語教育が🇺🇸アメリカ英語をベースとするようにシフトしたのだから、「英語と言えば🇺🇸アメリカ英語に決まってるじゃないか!」と言われればそれまでですし、それならそれで迷いがないのでまったく問題ありません。
しかしながら、「どの英語の発音を自分の基準にするのか」がしっかりと定まっていないと、発音学習で路頭に迷うことになります。
十把一からげ的な英語の発音の捉え方は、いくつもの異なるパスバンドが混乱した状態で発音学習に突き進む危険性をはらんでいます。日本語に例えれば、東京弁とも大阪弁とも東北弁ともつかない得体の知れない発話になってしまう可能性があるということです。言語とは、その言語を話す人のアイデンティティーであることを考えると、これは極めて不自然な状態です。
もう一つ重要なのは、🇯🇵日本語の音は🇯🇵日本語の中にしかなく、「🇯🇵日本語と同じ音」は世界中のどの言語にも存在しないということです。
外国語の発音を論じる際に必ずと言っていいほど「🇯🇵日本語にある音」と「🇯🇵日本語にはない音」という説明がありますが、これは前述のパスバンドの存在を無視した考え方です。
世界中のすべての言語が独自のパスバンドを持っているわけですから、特定の言語の音は、それ以外の言語の中には存在し得ません。
例えば🇪🇸スペイン語も🇮🇹イタリア語も、🇯🇵日本語と同様に5つの母音を有していますが、🇪🇸スペイン語の「アイウエオ」は🇯🇵日本語の「アイウエオ」とは似ても似つかない響き(音色)を持っています。🇮🇹イタリア語の「アイウエオ」についても同様です。パスバンドが異なるのですから、当然です。
どの英語の発音を基準にするのかを明確にし、「🇯🇵日本語にある音」と「🇯🇵日本語にはない音」に分けるという考え方をやめれば、ネイティブ発音の習得がスムーズになります。
どの英語の発音を基準にするのかを明確する必要性を説きましたが、どれか一つの英語しか選んではいけないということではありません。🇬🇧イギリス英語の発音と🇺🇸アメリカ英語の発音を両方とも習得し、対話相手や時と場所に応じて使い分けられるようにするのもアリですし、あまり現実的ではありませんが、上に挙げたすべての英語の発音の習得を目指すのもアリと言えばアリです。ただし、その場合、それぞれの発音の特徴をしっかりと区別できるようにしておくことが不可欠です。
スポーツにしろ楽器の演奏にしろ、さまざまな流派が存在します。複数の流派の技術を習得することは不可能ではありませんし、禁止されるべきことでもありませんが、これらをごっちゃにしないように注意する必要があります。
流派というのは一つの体系ですから、その体系の中で習得に励むべきです。
グローバル社会で自信を持ってコミュニケーションするために
さて、英語圏のネイティブスピーカーは、それぞれ特徴的な発音を持っています。そのため、どの英語を自分の基準として選択するにせよ、今日のグローバル社会において、それ以外の英語を話す人とコミュニケーションをとる機会は決して少なくないでしょう。
それぞれの発音の特徴を(頭ではなく体全体で)理解し、聴き取れる範囲を広げていくことは、国際社会におけるコミュニケーション能力の向上に役立ちます。
英語圏の発音の特徴を比較!
それでは早速、🇬🇧イギリス英語、🇺🇸アメリカ英語、🇦🇺オーストラリア英語、🇮🇳インド英語の発音の特徴を比較してみましょう。
それぞれの特徴を理解することで、より効果的にリスニング力を鍛えることができます。
「クイーンズ・イングリッシュ」や「Received Pronunciation(RP)」(容認発音)とも呼ばれる、🇬🇧イギリス英語の発音。映画やドラマの影響で、憧れる方も多いのではないでしょうか?
代表的な特徴①:超高周波数帯域のパスバンド
🇬🇧イギリス英語の発音には、2000Hz以上のきわめて高周波の倍音が多く含まれています。これはオーストラリア英語に近いものの、アメリカ英語にはない特徴です。こういった特徴は🇬🇧イギリス人の身体イメージにも反映されています。
高い周波数帯で自己表現し、唇の先で話すイギリス人の意味の表し方は、他の言語を話す同系の民族にくらべ、より繊細で洗練されていて、微妙である。イギリス人が話すときの体のうごきには、驚くほどむだがない。イギリス人は日本人のように腕を振ることも、イタリア人のように手を振ることも必要としない。というより、このようなジェスチャーをしていたら話ができないのである。イギリス人は寡黙で、動きも少ない。
「人間はみな語学の天才である」アルフレッド・トマティス著(アルク)より引用
代表的な特徴②:Rの発音
🇬🇧イギリス英語では、単語の語末にくる”r”は発音されません(non-rhotic)。例えば、”car”、”air”、”far”、”arm”など、単語の先頭以外の”r”は、アメリカ英語のような巻き舌の”r”のようには発音されません。
代表的な特徴③:Aの発音
🇬🇧イギリス英語、特にクイーンズイングリッシュ(容認発音)においては、”a”を長めに発音します。例えば、”path”、”dance”、”laugh”のような単語にこのような特徴が顕著に見られます。ただし、北イングランドには、アメリカ英語のように”a”を短く発音する人が少なくありません。
代表的な特徴④:Tの発音
🇬🇧イギリス英語の”t”には、声門閉鎖音的な響きがあります。すなわち、”better”は”be’er”のように、”letter”は”le’er”のように発音されることがあります。これは”t”が母音に挟まれている場合に起こります。
抑揚やリズム
🇬🇧イギリス英語は、比較的抑揚が少なく、淡々としたリズムで話される傾向があります。
例外や注意点
地域や社会階層によって発音が異なる場合があり、必ずしも全ての特徴に当てはまるとは限りません。
それでは実際に9人の🇬🇧イギリス人男性に同じ英文を読み上げてもらいましょう。
なお、この英文は1999年製作の🇬🇧イギリス映画『ノッティングヒルの恋人』の台詞から抜粋しました。
And so it was just another hopeless Wednesday, as I set off through the market to work, little suspecting that this was the day which would change my life forever. This is work, by the way, my little travel book shop…
【日本語訳】
何の変哲もない水曜日、いつものように市場を通って仕事場まで歩いて行った。僕の人生を変える日になるとは夢にも思わずに。それはそうと、僕は旅行ガイドブックの店をやっている。
🇬🇧1. Alfie(イギリス人男性)
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🇬🇧2. Brian(イギリス人男性)
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🇬🇧3. Elliot(イギリス人男性)
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🇬🇧4. Ethan(イギリス人男性)
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🇬🇧5. Geraint(イギリス人男性)
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🇬🇧6. Noah(イギリス人男性)
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🇬🇧7. Oliver(イギリス人男性)
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🇬🇧8. Ryan(イギリス人男性)
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🇬🇧9. Thomas(イギリス人男性)
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今度は10人のイギリス人女性に同じ英文を読み上げてもらいましょう。
この英文も1999年製作のイギリス映画『ノッティングヒルの恋人』の台詞から抜粋しました。
This is one of those key moments in life. When it’s possible, you can be really, genuinely cool. And I… I’m going to fail just a hundred percent. I, I absolutely, totally and utterly adore you. And I just think… you’re the most beautiful woman in the world. And more importantly, I, I, I genuinely believe and I’ve believed for some time now that, that we could be best friends. So, what do you think?
【日本語訳】
あたしの人生の決定的瞬間だわ。こんなサイコーにクールな出来事って、100%失神しちゃいそう。あたし、ものすごくめちゃくちゃあなたが大好き。だってあなたは、世界一の美人ですもの。それにもっと大事なのは、たぶん間違いなくあなたとは親友になれると思うの。 どうかしら?
🇬🇧1. Abbi(イギリス人女性)
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🇬🇧2. Amy(イギリス人女性)
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🇬🇧3. Bella(イギリス人女性)
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🇬🇧4. Emma(イギリス人女性)
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🇬🇧5. Hollie(イギリス人女性)
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🇬🇧6. Libby(イギリス人女性)
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🇬🇧7. Maisie(イギリス人女性)
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🇬🇧8. Mia(イギリス人女性)
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🇬🇧9. Olivia(イギリス人女性)
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🇬🇧10. Sonia(イギリス人女性)
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いかがでしたか? 全員の発音が🇬🇧イギリス英語の特徴を示してはいるものの、人によって話し方に癖があることがわかりますね。
これは私たちが日本語を話すときにも当てはまります。つまり、私たちは日本語という共通語を話すものの、私たち一人一人の日本語の発話の中には、その人のキャラクターが色濃く反映されています。
ですから🇬🇧イギリス英語を音読する場合、自分のキャラクターに最も合いそうなナレーターさんの発話を中心に練習することをお勧めします。
🇺🇸アメリカ英語の発音の特徴
世界的に最も広く話されているアメリカ英語は、私たち日本人にとっても、最も馴染み深い英語と言えるでしょう。
代表的な特徴①:中周波数帯域のパスバンド
🇺🇸アメリカ英語のパスバンドは、1000Hzより若干低いところから3000Hzまで、つまり中周波数帯域にわたって伸びています。これは胸椎6番から頸椎3番までがよく響くことを意味しており、アメリカ英語の発話の中に鼻に抜ける音が頻繁に現れる原因になっています。
ここで、反応時間という概念について説明します。人間のあらゆる行為には、その行為をしようと欲した瞬間からその行為を実行に移すための準備をする時間が存在します。この時間を反応時間と呼びます。
例えば、あなたがある物体を見つめようとする、と仮定します。するとあなたは視覚を準備し、物体に焦点を当てます。最初はその物体は近づきすぎたり、二重に見えたりするかもしれません。それらの画像をひとつに結びつけるまでに要する時間が反応時間です。
聴覚にもこの反応時間、つまり耳が聴き取りを開始するまでの時間が存在します。アフリカの平原から北米大陸の北端まで、人が耳をそばだてるやり方は異なります。
以下、🇺🇸アメリカ英語の反応時間に関する興味深い記載を引用します。
アメリカ人の反応時間はイギリス人のそれより長い。アメリカ人は音素を発するまでに75ミリセカンドを必要とする。これはフランス人よりも長く、イタリア人と同じくらいである。そのため、発言には《mmmmm…》という音がよく現れる。この音は、語がでてくる前の合図のようなものである。米語はむしろ音楽的な言語だが、頂点が1500ヘルツにあるため、鼻に抜けていきがちだ。
「人間はみな語学の天才である」アルフレッド・トマティス著(アルク)より引用
代表的な特徴②:Rの発音
🇺🇸アメリカ英語では、🇬🇧イギリス英語とは異なり、”r”はしっかりと発音されます。例えば、”car”は語尾を巻き舌ではっきりと発音します。
代表的な特徴③:Tの発音
また、単語の中にある”t”は、”water”のように、弾けるように発音されることが多いです。
抑揚やリズム
🇬🇧イギリス英語と比較すると、抑揚が大きく、感情表現が豊かであるという特徴があります。
例外や注意点
🇬🇧イギリス英語と同様に、地域や人種、民族によって発音が異なる場合があります。
それでは実際に13人の🇺🇸アメリカ人男性に同じ英文を読み上げてもらいましょう。
なお、この英文は1999年製作のアメリカ映画『アメリカン・ビューティー』の台詞から抜粋しました。
Remember those posters that said, “Today is the first day of the rest of your life?” Well, that’s true of every day except one. The day you die.
【日本語訳】
「今日はあなたの残りの人生の最初の日」って書いてあるポスターを覚えているかい? なるほど、それはたった一日を除く毎日に当てはまる。君が死ぬ、その日を除いて。
🇺🇸1. Brandon(アメリカ人男性)
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🇺🇸2. Christopher(アメリカ人男性)
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🇺🇸3. Davis(アメリカ人男性)
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🇺🇸4. Eric(アメリカ人男性)
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🇺🇸5. Guy(アメリカ人男性)
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🇺🇸6. Jacob(アメリカ人男性)
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🇺🇸7. Jason(アメリカ人男性)
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🇺🇸8. Joey(アメリカ人男性)
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🇺🇸9. Kevin(アメリカ人男性)
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🇺🇸10. Matthew(アメリカ人男性)
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🇺🇸11. Roger(アメリカ人男性)
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🇺🇸12. Steffan(アメリカ人男性)
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🇺🇸13. Tony(アメリカ人男性)
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今度は19人の🇺🇸アメリカ人女性に同じ英文を読み上げてもらいましょう。
この英文も1999年製作のアメリカ映画『アメリカン・ビューティー』の台詞から抜粋しました。
So we’ve finally got new neighbors. You know, if the Lomans had let me represent them, instead of “The Real Estate King,” that house would never have sat on the market for six months.
【日本語訳】
ということは、ようやく新しいお隣さんがやって来たってことね。まあ、ローマン家が「不動産王」なんかに頼まず、私に任せてくれていたら、あの家が6カ月も売れ残ったなんてことはなかったでしょうに。
🇺🇸1. Amber(アメリカ人女性)
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🇺🇸2. Ana(アメリカ人女性)
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🇺🇸3. Aria(アメリカ人女性)
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🇺🇸4. Ashley(アメリカ人女性)
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🇺🇸5. Blue(アメリカ人女性)
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🇺🇸6. Cora(アメリカ人女性)
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🇺🇸7. Elizabeth(アメリカ人女性)
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🇺🇸8. Ivy(アメリカ人女性)
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🇺🇸9. Jane(アメリカ人女性)
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🇺🇸10. Jenny(アメリカ人女性)
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🇺🇸11. Joanna(アメリカ人女性)
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🇺🇸12. Justin(アメリカ人女性)
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🇺🇸13. Kendra(アメリカ人女性)
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🇺🇸14. Kimberly(アメリカ人女性)
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🇺🇸15. Michelle(アメリカ人女性)
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🇺🇸16. Monica(アメリカ人女性)
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🇺🇸17. Nancy(アメリカ人女性)
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🇺🇸18. Salli(アメリカ人女性)
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🇺🇸19. Sara(アメリカ人女性)
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いかがでしたか? 全員の発音が🇺🇸アメリカ英語の特徴を示してはいるものの、人によって話し方に癖があることがわかりますね。
これは私たちが日本語を話すときにも当てはまります。つまり、私たちは日本語という共通語を話すものの、私たち一人一人の日本語の発話の中には、その人のキャラクターが色濃く反映されています。
ですから🇺🇸アメリカ英語を音読する場合、自分のキャラクターに最も合いそうなナレーターさんの発話を中心に練習することをお勧めします。
🇦🇺オーストラリア英語の発音の特徴
明るくフレンドリーな印象の🇦🇺オーストラリア英語。イギリス英語をベースにしながらも、独特な特徴を持っています。
代表的な特徴①:高周波数帯域のパスバンド
イギリス英語と同様に、🇦🇺オーストラリア英語のパスバンドもかなり高周波寄りにあります。
代表的な特徴②:Rの発音
🇦🇺オーストラリア英語の”R”の発音は、イギリス英語とアメリカ英語の中間のような発音で、「ア」と「アー」の中間のような曖昧な音で発音されます。
代表的な特徴③:Tの発音
また、”t”は、語尾にくる場合、詰まった音で発音されることが多いです。
抑揚やリズム
全体的にゆったりとしたリズムで話され、語尾を少し上げる独特なイントネーションが特徴です。
例外や注意点
🇦🇺オーストラリア英語は、イギリス英語の影響を強く受けているため、地域や人によっては、イギリス英語にかなり近い発音をする場合があります。
それでは実際に7人の🇦🇺オーストラリア人男性に同じ英文を読み上げてもらいましょう。
なお、この英文は1993年公開の🇦🇺オーストラリア・ニュージーランド・フランスによる合作映画『ピアノ・レッスン』の台詞から抜粋しました。
I have to go away for some days. There is some Maori land I’m interested in, which I may buy very reasonably. Well, I hope you’ll spend the time to get settled, and perhaps, in some ways we could start again.
【日本語訳】
数日だが留守にするよ。マリオ族の土地に興味があって、手頃な値段で買えるかもしれない。まあ、その間に君も少しは落ち着くだろう。そうすればおそらく、いろいろな意味で、一からやり直せるだろう。
🇦🇺1. Darren(オーストラリア人男性)
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🇦🇺2. Duncan(オーストラリア人男性)
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🇦🇺3. Ken(オーストラリア人男性)
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🇦🇺4. Neil(オーストラリア人男性)
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🇦🇺5. Russell(オーストラリア人男性)
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🇦🇺6. Tim(オーストラリア人男性)
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🇦🇺7. William(オーストラリア人男性)
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今度は10人の🇦🇺オーストラリア人女性に同じ英文を読み上げてもらいましょう。
この英文は1999年製作の映画、スタンリー・キューブリック監督の遺作となった『アイズワイドシャット』の台詞から抜粋しました。
Do you remember one night in the dining room there was this young naval officer and he was sitting near our table with two other officers?
【日本語訳】
ある夜、食堂に若い将校がいて、他の二人の将校と私たちの近くのテーブルに座っていたんだけど、覚えているかしら?
🇦🇺1. Annette(オーストラリア人女性)
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🇦🇺2. Carly(オーストラリア人女性)
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🇦🇺3. Elsie(オーストラリア人女性)
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🇦🇺4. Freya(オーストラリア人女性)
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🇦🇺5. Joanne(オーストラリア人女性)
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🇦🇺6. Kim(オーストラリア人女性)
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🇦🇺7. Natasha(オーストラリア人女性)
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🇦🇺8. Nicole(オーストラリア人女性)
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🇦🇺9. Olivia(オーストラリア人女性)
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🇦🇺10. Tina(オーストラリア人女性)
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やはりオーストラリア英語にも個人差があるため、オーストラリア英語を音読する場合、自分のキャラクターに最も合いそうなナレーターさんの発話を中心に練習することをお勧めします。
🇮🇳インド英語の発音の特徴
世界で最も話者が多い言語の一つである🇮🇳インド英語。ヒンディー語などの影響を受けた、独特な発音が特徴です。
代表的な特徴:Rの発音/Tの発音
インド英語では、”R”を巻き舌で発音します。また、”t”は、息を強く吐き出すように発音されます。
抑揚やリズム
ヒンディー語などの影響を受け、抑揚が大きく、歌うようなリズムで話される傾向があります。
例外や注意点
インドは多言語国家であるため、地域や出身地によって発音が大きく異なる場合があります。
それでは実際に3人の🇮🇳インド人男性に同じ英文を読み上げてもらいましょう。
なお、ここでの英文は2008年公開の🇮🇳インド映画『ハッラ・ボル』の台詞から抜粋しました。
I don’t know what happened to me. I was totally lost in the play, and couldn’t stop crying. I was watching it, and continuously crying.
【日本語訳】
俺は自分の身に何が起こったのかわからない。俺は芝居に没頭し、涙が止まらなかった。芝居を観ながら、ひたすら泣いていた。
🇮🇳1. Prabhat(インド人男性)
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🇮🇳2. en-IN-B(インド人男性)
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🇮🇳3. en-IN-C(インド人男性)
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今度は3人の🇮🇳インド人女性に同じ英文を読み上げてもらいましょう。
この英文も2008年公開の🇮🇳インド映画『ハッラ・ボル』の台詞から抜粋しました。
For God’s sake, you forget everything. Our son’s life is in danger. Come on, let us go to Mumbai. I’m so worried about him.
【日本語訳】
まったく、あなたって何もかも忘れちゃうのね。私たちの息子の命が危ないのよ。さあ、ムンバイに行きましょう。あの子が心配なの。
🇮🇳1. Aditi(インド人女性)
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🇮🇳2. Neerja(インド人女性)
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🇮🇳3. Raveena(インド人女性)
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同様に🇮🇳インド英語にも個人差があるため、🇮🇳インド英語を音読する場合、自分のキャラクターに最も合いそうなナレーターさんの発話を中心に練習することをお勧めします。
発音の違いを聞き比べてみよう!
ここまで、4つの英語圏の発音の特徴を解説してきました。今度は二つの異なる英語圏のネイティブスピーカーの発音を、同じ英文(アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの有名な小説『星の王子様』から抜粋)を使って対比してみましょう。
Look at it carefully so that you will be sure to recognise it in case you travel some day to the African desert. And, if you should come upon this spot, please do not hurry on. Wait for a time, exactly under the star. Then, if a little man appears who laughs, who has golden hair and who refuses to answer questions, you will know who he is. If this should happen, please comfort me. Send me word that he has come back.
【日本語訳】
もしあなたがいつかアフリカの砂漠を旅行なさることがあったら、ここだなとわかるように、この景色をよく見ておいてください。そして、もしこの地点をお通りになるようでしたら、お願いですから、お急ぎにならないでください。そしてこの星がちょうどあなたの頭上に来るのをお待ちください。そのとき、子供が姿を現して、笑って、金色の髪をしていて、何を尋ねても黙りこくっていたなら、あなたは、ああ、この子が王子様なのだなとお察しがつくことでしょう。そうしたら、どうか僕を慰めてください。王子様が戻って来た、と僕に知らせてください。
【音声比較】🇬🇧イギリス英語 vs 🇺🇸アメリカ英語
🇬🇧Ryan(イギリス人男性)
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🇺🇸Jason(アメリカ人男性)
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🇬🇧Mia(イギリス人女性)
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🇺🇸Jenny(アメリカ人女性)
【音声比較】🇬🇧イギリス英語 vs 🇦🇺オーストラリア英語
🇬🇧Ryan(イギリス人男性)
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🇦🇺William(オーストラリア人男性)
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🇬🇧Mia(イギリス人女性)
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🇦🇺Natasha(オーストラリア人女性)
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【音声比較】🇺🇸アメリカ英語 vs 🇮🇳インド英語
🇺🇸Jason(アメリカ人男性)
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🇮🇳Prabhat(インド人男性)
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🇺🇸Jenny(アメリカ人女性)
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🇮🇳Neerja(インド人女性)
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まとめ:ネイティブスピーカーの発音に慣れよう!
今回は、英語学習において非常に重要な「ネイティブスピーカーの発音の特徴」について解説しました。
この記事を参考にして、ぜひ、積極的にさまざまな英語圏の英語の音声に触れ、発音の違いを意識しながら学習してみてください。
そして、ネイティブスピーカーの発音を深く聴き取れるようになったら、ぜひ音読にもチャレンジしてみてください!
各英語圏の英語の発音をもっと学びたい方は体感語学の中村屋へご相談ください。
🇬🇧イギリス英語の発音の特徴