スペイン語を学習中の方であれば、「接続法」という文法事項に出くわして頭を悩ませた経験があるのではないでしょうか?
接続法は、スペイン語を学習する上で避けては通れない、そして、マスターすることで表現の幅が大きく広がる、重要なポイントです。
この記事では、そんなスペイン語の接続法について、基礎から応用、そして具体的な例文を交えながら、わかりやすく解説していきます。苦手意識を持つことなく、一緒にマスターしていきましょう!
目次
そもそも接続法って何?
接続法は、話し手の主観や感情、不確実性などを表現する際に用いられる動詞の形です。日本語にはない文法概念なので、最初は戸惑うかもしれません。
「断定」を表現する「直接法」とは対照的に、「もしかしたら〜かもしれない」「〜であればいいのに」といった、断定を避けた表現をする際に接続法を用います。
接続法が使われる場面とは?
接続法は、実に様々な場面で登場します。大きく分けると以下の3つのパターンがあります。
- 願望・感情:~であればいいのに、~することを望む
- 不確実性・推測:~かもしれない、~かどうか分からない
- 否定・反対・命令:~ではない、~するな
これらのパターンを意識しながら、具体的な例文を見ていくことで、接続法への理解を深めていきましょう。
接続法の活用:基本の形を押さえよう
接続法の活用は、一見複雑に見えますが、基本の形さえ押さえてしまえば、規則的に変化させることができます。まずは、現在形の接続法の作り方を見てみましょう。
動詞の原形から「-ar」「-er」「-ir」を取り除き、以下の語尾を付け加えます。
人称と数 | 直説法の語尾 | 接続法の語尾 (-ar動詞) | 接続法の語尾 (-er動詞・-ir動詞) |
1・単 yo 私 | -o | -e | -a |
2・単 tú 君 | -as | -es | -as |
3・単 él/ella/usted 彼、彼女、あなた | -a | -e | -a |
1・複 nosotros/as 私たち | -amos | -emos | -amos |
2・複 vosotros/as 君たち | -áis | -éis | -áis |
3・複 ellos/ellas/ustedes 彼ら、彼女ら、あなたたち | -an | -en | -an |
例えば、「hablar (話す)」という動詞であれば、「hable, hables, hable, hablemos, habléis, hablen」と活用します。
動詞のタイプ別:接続法の作り方をマスターしよう
接続法の活用は、規則動詞だけでなく、不規則動詞も存在します。ここでは、よく使う不規則動詞も含めて、タイプ別に接続法の作り方を見ていきましょう。
「tener(持つ)」「venir(来る)」「decir(言う)」などの動詞は、接続法を作る際に語根が変化します。
人称と数 | tener | venir | decir |
1・単 yo 私 | tenga | venga | diga |
2・単 tú 君 | tengas | vengas | digas |
3・単 él/ella/usted 彼、彼女、あなた | tenga | venga | diga |
1・複 nosotros/as 私たち | tengamos | vengamos | digamos |
2・複 vosotros/as 君たち | tengáis | vengáis | digáis |
3・複 ellos/ellas/ustedes 彼ら、彼女ら、あなたたち | tengan | vengan | digan |
2. 語尾が -ir で、不規則な変化をする動詞
「salir (出かける)」「dormir (寝る)」などの動詞は、語尾が -ir でありながら、不規則な変化をします。
人称と数 | salir | dormir |
1・単 yo 私 | salga | duerma |
2・単 tú 君 | salgas | duermas |
3・単 él/ella/usted 彼、彼女、あなた | salga | duerma |
1・複 nosotros/as 私たち | salgamos | durmamos |
2・複 vosotros/as 君たち | salgáis | durmáis |
3・複 ellos/ellas/ustedes 彼ら、彼女ら、あなたたち | salgan | duerman |
3. その他の不規則動詞
「ser (~である)」「estar (~にいる/~の状態である)」「ir (行く)」「haber (~がある)」など、頻繁に使う重要な動詞は、不規則な変化をします。
人称と数 | ser | estar | ir | haber |
1・単 yo 私 | sea | esté | vaya | haya |
2・単 tú 君 | seas | estés | vayas | hayas |
3・単 él/ella/usted 彼、彼女、あなた | sea | esté | vaya | haya |
1・複 nosotros/as 私たち | seamos | estemos | vayamos | hayamos |
2・複 vosotros/as 君たち | seáis | estéis | vayáis | hayáis |
3・複 ellos/ellas/ustedes 彼ら、彼女ら、あなたたち | sean | estén | vayan | hayan |
願望・感情を表す接続法
接続法は、話者の願望や感情を表現する際に頻繁に用いられます。ここでは、具体的な例文と共に、願望・感情を表す接続法の使い方をマスターしましょう。
Quiero que vengas.
🇪🇸 Alvaro(スペイン人男性)
©ondoku3.com
🇪🇸 Lucia(スペイン人女性)
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【日本語訳】
君に来てほしい。
この例文では、「querer que + 接続法」の形が使われています。「querer (~が欲しい/~を望む)」という動詞は、その後に接続詞 que を伴い、接続法を導きます。つまり、「君に来てほしい」という話者の願望が表現されています。
Espero que te diviertas.
🇪🇸 Alvaro(スペイン人男性)
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🇪🇸 Lucia(スペイン人女性)
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【日本語訳】
あなたが楽しむことを願っています。
「esperar que + 接続法」は、「~であることを望む」「~することを期待する」という表現です。この例文では、「あなたが楽しむこと」を話者が期待している、という気持ちが込められています。
Me alegro de que estés aquí.
🇪🇸 Alvaro(スペイン人男性)
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🇪🇸 Lucia(スペイン人女性)
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【日本語訳】
あなたがここにいてくれて嬉しい。
「alegrarse de que + 接続法」は、「~であることを喜ぶ」という意味です。話者の喜びの感情が、接続法によって表現されています。
不確実性・推測を表す接続法
不確実なことや、まだ起こっていないことに対する推測を表現する場合にも、接続法が使われます。具体的な例を見ていきましょう。
Creo que llueva mañana.
🇪🇸 Alvaro(スペイン人男性)
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🇪🇸 Lucia(スペイン人女性)
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【日本語訳】
明日は雨が降ると思う。
「creer que + 接続法」は、「~だと思う」という、確証のない推測を表します。この場合、「明日は雨が降る」という出来事が、まだ確定していないため、接続法が使われています。もし、「明日は雨が降るだろう」と断定する場合には、「Creo que lloverá mañana.」のように、直接法を用います。
Es posible que llegue tarde.
🇪🇸 Alvaro(スペイン人男性)
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🇪🇸 Lucia(スペイン人女性)
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【日本語訳】
彼が遅れてくる可能性があります。
「Es posible que + 接続法」は、「~の可能性がある」という不確実性を表します。ここでは、「彼が遅れてくる」という出来事が、まだ確定していないため、接続法が用いられています。
Dudo que pueda ir.
🇪🇸 Alvaro(スペイン人男性)
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🇪🇸 Lucia(スペイン人女性)
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【日本語訳】
私は行けるかどうか疑わしい。
「dudar que + 接続法」は、「~を疑う」「~かどうか分からない」という意味です。話者が「行ける」かどうか確信を持てていないため、接続法が使われています。もし、「私は行ける」と断定する場合には、「No dudo que puedo ir.」のように、直接法を用います。
否定・反対・命令を表す接続法
否定文や反対表現、そして命令文の中でも接続法は活躍します。これらの表現は、話者の主観や感情が強く反映されるため、接続法が使われるケースが多いです。
No creo que sea verdad.
🇪🇸 Alvaro(スペイン人男性)
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🇪🇸 Lucia(スペイン人女性)
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【日本語訳】
それが本当だと思いません。
「no creer que + 接続法」で、「~だと思わない」という否定の表現になります。接続法を用いることで、「それが真実ではない」という話者の確信のなさが強調されます。
¡Ojalá que no llueva!
🇪🇸 Alvaro(スペイン人男性)
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🇪🇸 Lucia(スペイン人女性)
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【日本語訳】
雨が降らないといいのに!]
「¡Ojalá que + 接続法」は、「~であればいいのに」という願望を表す表現です。ここでは、「雨が降らないこと」を強く願う気持ちが込められています。
Te pido que me escuches.
🇪🇸 Alvaro(スペイン人男性)
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🇪🇸 Lucia(スペイン人女性)
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【日本語訳】
私の話を聞いてください。
「pedir que + 接続法」は、「~するように頼む」という意味です。接続法を用いることで、「聞いてほしい」という話者の願望が表現されています。もし、「聞く」ことを命令形で言う場合には、「¡Escúchame!」のように、接続法は使いません。
接続詞が導く接続法:複雑な表現も理解しよう
接続法は、特定の接続詞と共に用いられることで、より複雑な意味合いを表現することができます。ここでは、よく使われる接続詞と接続法の組み合わせ、そして具体的な例文をご紹介しましょう。
Para que, a fin de que (~するために)
「Para que」「a fin de que」は、「~するために」という目的を表す接続詞です。これらの接続詞が使われる場合、従属節の動詞は接続法になります。
Te llamo para que me cuentes cómo te fue.
🇪🇸 Alvaro(スペイン人男性)
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🇪🇸 Lucia(スペイン人女性)
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【日本語訳】
君がどうだったか教えてくれるように電話するよ。
Aunque (~だけれども)
「Aunque」は、「~だけれども」という意味の譲歩を表す接続詞です。aunque の後の節の動詞は、話者の予想に反する出来事や状況を表す場合に、接続法になります。
Aunque llueva mañana, voy a salir.
🇪🇸 Alvaro(スペイン人男性)
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🇪🇸 Lucia(スペイン人女性)
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【日本語訳】
明日雨が降っても、私は外出します。
Sin que(~せずに)
「Sin que」は、「~せずに」という意味で、ある動作や状態がないことを表す接続詞です。sin que の後の節の動詞は接続法になります。
Terminé el trabajo sin que nadie me ayudara.
🇪🇸 Alvaro(スペイン人男性)
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🇪🇸 Lucia(スペイン人女性)
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【日本語訳】
誰の助けも借りずに仕事を終えました。
Antes de que(~する前に)
「Antes de que」は、「~する前に」という意味で、時間的な前後関係を表す接続詞です。antes de que の後の節の動詞は接続法になります。
Quiero terminar esto antes de que llegue mi familia.
🇪🇸 Alvaro(スペイン人男性)
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🇪🇸 Lucia(スペイン人女性)
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【日本語訳】
家族が来る前にこれを終わらせたい。
En caso de que (~の場合に備えて)
「En caso de que」は、「~の場合に備えて」という意味で、仮定の状況を表す接続詞です。en caso de que の後の節の動詞は接続法になります。
En caso de que llueva, lleva paraguas.
🇪🇸 Alvaro(スペイン人男性)
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🇪🇸 Lucia(スペイン人女性)
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【日本語訳】
雨が降るといけないから、傘を持って行きなさい。
スペイン語接続法に関するよくある質問
まとめ|接続法をマスターして、スペイン語表現を豊かにしよう!
この記事では、スペイン語の接続法について、基礎から応用まで、例文を交えながら詳しく解説してきました。
接続法は、複雑で難しいと感じることもありますが、マスターすることで、より自然で豊かなスペイン語表現が可能になります。
ぜひ、この記事を参考に、接続法をマスターして、スペイン語学習をさらに楽しんでいきましょう!
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