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ロシア語上級者も意外と悩む? 完了体と不完了体

夕暮れ時の赤の広場

こんにちは! ロシア語学習、日々頑張っていらっしゃいますか?

さて、ロシア語を学習する上で避けては通れないのが、動詞の「完了体」と「不完了体」です。初心者の方はもちろん、上級者の方でも、とっさにどちらを使えばいいのか迷ってしまうこと、ありませんか?

今回は、そんなロシア語学習者の皆さんのために、完了体と不完了体の違いを徹底的に解説していきます。基本的な文法事項から、ネイティブスピーカーがどのように使い分けているのか、その微妙なニュアンスの違いまで、具体的な例文を交えながらわかりやすく解説していきます。

この記事を読めば、きっとあなたのロシア語表現がワンランクアップすること間違いなしです!

「見た」と「見ていた」だけじゃない! ロシア語特有のアスペクトとは?

英語などの言語にも、現在進行形や過去完了形のように、動作の「時」を表す文法は存在しますよね。しかしロシア語の場合、さらに「アスペクト」という概念が存在し、これは動詞が表す動作や状態の「様態」を表します。

例えば、「読む」という動作一つとっても、

「本を読み終えた」

「本を読んでいた」

「いつも本を読んでいる」

のように、様々な表現がありますよね。ロシア語では、このように動作の「様態」によって動詞の形を変える必要があるのです。

そして、この「様態」を表すための動詞の分類が「完了体」と「不完了体」なのです。

完璧主義者は要注意? 完了体と不完了体の根本的な違い

それでは、完了体と不完了体の具体的な違いを見ていきましょう。まずは、それぞれの基本的なイメージを掴んでみましょう。

種類イメージ日本語訳の例
完了体(Совершённый вид)動作の完了 動作の結果 動作の開始 一回限りの動作〜した(読み終えた、書いた)
不完了体(Несовершённый вид)動作の継続 動作の反復〜していた(読んでいた、書いていた)

このように、完了体は「動作の完了」や「結果」に焦点を当てているのに対し、不完了体は「動作の継続」や「過程」を重視していると言えるでしょう。日本語で「〜した」と訳される動詞が完了体、「〜していた」と訳される動詞が不完了体、と考えると理解しやすいかもしれません。

ニュアンスの違いを制する者がロシア語を制す!

完了体と不完了体の違いは、単純に「〜した」と「〜していた」のように置き換えられるほど単純ではありません。場合によっては、どちらのアスペクトを使うかによって、文全体の意味合いが大きく変わってきます。ここからは、具体的な例文を見ながら、その微妙なニュアンスの違いを掴んでいきましょう。

【状況別】完了体と不完了体:ネイティブの感覚を掴む徹底解説

状況1: 週末の過ごし方

友人との会話で週末何をしたかを話す際、完了体と不完了体によって表現方法が変わります。

Я посмотрел фильм.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

私は映画を観ました。(完了体:映画を観終えたという事実を伝える)

Я смотрел фильм.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

私は映画を観ていました。(不完了体:映画を観ていた最中や、映画を観るという行為に焦点を当てる)

状況2: 電話での会話

電話で相手の行動を尋ねる際にも、完了体と不完了体を使い分けることで、より自然な表現になります。

Ты прочитал мою статью?

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

私の記事を読んだ?(完了体:記事を最後まで読んだかどうかを尋ねる)

Ты читал мою статью?

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

私の記事を読んでいた?(不完了体:記事を読んでいる最中だったか、過去に読んだことがあるかを尋ねる)

【動詞別】完了体と不完了体:使い分けのポイントと例文集

ロシア語の動詞には、完了体と不完了体のペアがあります。ここでは、よく使われる動詞をいくつかピックアップし、具体的な例文とともに使い分けのポイントを解説していきます。

移動系動詞:идти/ходить vs пойти/сходить

ロシア語の移動系動詞は、複雑で習得するのが難しいと言われています。ここでは、基本的な移動系動詞である「行く/来る」を例に、完了体と不完了体の違いを見ていきましょう。

идти(不完了体)

歩いて行く/来る(動作の継続)

Я иду домой.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

私は家に向かっています。

пойти(完了体)

歩いて行く/来る(動作の開始)

Я пойду домой.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

私は家に帰ります。

ходить(不完了体)

歩いて行く/来る(反復的な動作)

Я хожу в школу пешком.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

私は歩いて学校に通っています。

сходить(完了体)

歩いて行って戻ってくる(一回限りの動作)

Я схожу в магазин.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

ちょっとお店に行ってきます。

上記のように、移動系動詞は、単に「行く」と訳される場合でも、動作の継続、開始、反復、完了など、様々なニュアンスを表すことができます。特に、完了体と不完了体を使い分けることで、より具体的な状況や話者の意図を表現することができるのです。

読む:читать vs прочитать

「読む」「書く」「話す」といった基本的な動作を表す動詞も、完了体と不完了体によって微妙なニュアンスの違いがあります。

читать(不完了体)

読む(動作の継続)

Он читает книгу.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

彼は本を読んでいます。

прочитать(完了体)

読む(動作の完了)

Он прочитал книгу.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

彼は本を読み終えました。

Она прочитала книгу.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

彼女は本を読み終えました。

このように、「читать」は「読む」という動作自体に焦点を当てているのに対し、「прочитать」は「最後まで読み終える」という完了された動作を表しています。

食べる・飲む:есть/пить vs съесть/выпить

「食べる」「飲む」といった動作にも、完了体と不完了体が存在します。これらの動詞は、食べたり飲んだりする物の量や、動作の完了度合いによって使い分けられます。

есть(不完了体)

食べる(動作の継続)

Я ем рыбу.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

私は魚を食べています。

съесть(完了体)

食べる(動作の完了)

Я съел рыбу.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

Я съела рыбу.

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

私は魚を食べました。

「есть」は、食事中や習慣的に何かを食べている状況を表す場合に用いられます。一方、「съесть」は、何かを全て食べ終えた状況を表す場合に用いられます。

пить(不完了体)

飲む(動作の継続)

Я пью водку.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

私はウォッカを飲んでいます。

выпить(完了体)

飲む(動作の完了)

Я выпил водку.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

Я выпила водку.

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

私はウォッカを飲みました。 「пить」は、社交の場での交流中や習慣的に何かを飲んでいる状況を表す場合に用いられます。一方、「выпить」は、何かを全て飲み終えた状況を表す場合に用いられます。

知る・理解する:знать/понимать vs узнать/понять

「知る」「理解する」といった動詞も、ロシア語では完了体と不完了体によって使い分けられます。これらの動詞は、情報を得た方法や、理解の度合いによって使い分けられます。

знать(不完了体)

知っている(すでに情報を持っている状態)

Я знаю его имя.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

私は彼の名前を知っています。

узнать(完了体)

知る(新しく情報を得る)

Я узнал его имя вчера.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

Я узнала его имя вчера.

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

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【日本語訳】

私は昨日、彼の名前を知りました。

「знать」は、すでに知っている情報を持っている状態を表すのに対し、「узнать」は、新しく情報を得る行為を表します。

понимать(不完了体)

理解している(すでに分かっている)

Я понимаю, что происходит.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

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【日本語訳】

私は何が起きているのか理解しています。

понять(完了体)

理解する(新しいことが分かる)

Я понял, что произошло.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

Я поняла, что произошло.

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

私は何が起こったのか理解しました。

「понимать」は、すでに分かっている状態を表すのに対し、「понять」は、新たに情報を得て消化する行為を表します。

見る・聞く:видеть/слышать vs увидеть/услышать

「見る」「聞く」といった感覚を表す動詞も、ロシア語では完了体と不完了体によって使い分けられます。これらの動詞は、視覚や聴覚に情報が入ってくる瞬間や、継続的に情報を得ている状況によって使い分けられます。

видеть(不完了体)

見ている(視覚的に認識している状態)

Я вижу птицу на дереве.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

私は木の上に鳥を見ています。

увидеть(完了体)

見る(視界に入ったものを認識する)

Я увидел птицу на дереве.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

Я увидела птицу на дереве.

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

私は木の上に鳥を見ました。

「видеть」は、視界に何かが入っている状態を表すのに対し、「увидеть」は、視界に何かが入ってくる瞬間や、はっきりと見えるようになった瞬間を表します。

слушать(不完了体)

聴いている(聴くという行為が進行している)

Я слушаю джаз.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

私はジャズを聴いています。

послушать(完了体)

聴いている(聴くという行為が完了した)

Я послушал эту песню.

🇷🇺 Дмитрий(ロシア人男性)

©ondoku3.com

Я послушала эту песню.

🇷🇺 Светлана(ロシア人女性)

©ondoku3.com

【日本語訳】

私はこの歌を聴きました。 「слушать」は、音楽などを聴いている状態を表すのに対し、「послушать」は、曲やアルバムなどを最後まで聴いたことを表します。

完了体と不完了体に関するよくある質問

完了体と不完了体、どちらを先に勉強すればいいですか?

完了体と不完了体を勉強する上で優先順位はありません。完了体と不完了体の基本的なイメージができたら、具体的な例文に触れていくだけですが、例えば「実用ロシア語単語集」(星雲社)の音声MP3では、全ての動詞を不完了体→完了体の順番で読み上げてくれているので、知識を整理する上でとても役に立ちます。

完了体と不完了体の使い分けがどうしても難しいです……

完璧を目指そうとしないことが大切です! 最初は戸惑うことも多いですが、多くの例文を聴き、音読していくうちに、自然と使い分けられるようになっていきます。積極的にロシア語に触れる機会を増やし、ネイティブの感覚を掴んでいきましょう。

まとめ:完了体と不完了体を使いこなして、ワンランク上のロシア語表現を!

今回は、ロシア語の完了体と不完了体について解説しました。これらの概念は、ロシア語を学習する上で非常に重要ですが、習得に時間がかかるポイントでもあります。しかし、諦めずに学習を続けることで、必ず使い分けられるようになります。

まずは、それぞれの基本的なイメージを掴み、多くの例文に触れながら、実際に使ってみることが大切です。そして、ネイティブスピーカーがどのように使い分けているのか、その微妙なニュアンスを理解していくようにしましょう。

完了体と不完了体をマスターすれば、より自然で豊かなロシア語表現が可能になります。ぜひ、この記事を参考に、ワンランク上のロシア語を目指してください!

ABOUT US
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Takuo Nakamura
著者紹介:中村卓雄(なかむらたくお)
語学講師・翻訳家・ライター
京都大学で言語学を学び、トヨタ自動車の外国特許出願明細書の英訳をはじめとして多くの言語の翻訳に従事
「体感語学の中村屋」を主催、ネイティブ発音の音声をベースにした独自のメソッドを展開
オンラインレッスン受付中(初回カウンセリング無料)
HLI英語・ドイツ語・フランス語・スペイン語・イタリア語・ポルトガル語・オランダ語コース修了
愛知県江南市在住