現代の日本では、オランダ語はマイナーな言語とされていますが、日本におけるオランダ語学習の歴史は意外にも長いのです。
徳川幕府の鎖国時代において、キリスト教を広めないと約束したオランダは日本との貿易を許されていた数少ない国の一つでした。
当時長崎の出島に居留していたオランダ人と貿易に関する交渉をするため、現地に配属された通訳によって、日本におけるオランダ語学習が始まったと言われています。
僕自身は、オランダ語と同様にゲルマン語派に属するドイツ語を大学で第二外国語として選択していたこともあって、ドイツ語の学習と並行してオランダ語の学習を「ゆるーく」続けていました。
今になって振り返ってみると、僕の多言語学習歴において、オランダ語とは長いお付き合いです。
ところで、オランダ語学習をしようと思った人が最初に手に取るべき本とはいったい何なのでしょうか? また、オランダ語学習を続けてきた中・上級者が読むべきテキストとは?
ここでは、オランダ語の勉強をしたい人にお勧めの本を紹介します。
これからオランダ語学習を始めようと思っている人も、すでにオランダ語の知識をある程度お持ちの人も、ぜひ新たな一冊に出合えるかもしれないと思って参考にしてください。
オランダ語を勉強するときにお勧めの本は
- 初心者編
①ニューエクスプレスプラス オランダ語/著者:川村三喜男、佐藤弘幸
オランダ語を初めて勉強する人には必読の一冊です。
老舗の語学系出版社、白水社のニューエクスプレスプラスシリーズは何語であれ、分かりやすく人気がありますが、オランダ語の場合も例外ではありません。
各課のスキットは平易な内容で、日本人が旅行でオランダに滞在した際に遭遇するであろうと思われるシチュエーションを扱っているため、取り組みやすいと言えるでしょう。
文法事項の説明も、基本的なところは一通り網羅してあります。 ただ、付属CDに吹き込まれているオランダ人ナレーターの音声は、初心者向けの教材であることを意識してか、かなりゆっくりめです。
②ゼロから話せるオランダ語 会話中心/著者:清水誠
「会話中心」というタイトル通り、文法事項の説明が最小限に抑えられています。
とにかく理屈は抜きにして、まずは基本的なオランダ語のフレーズを覚えてしまいたいという人向けです。 付属CDの音声のクオリティが高く、オランダ語の「耳作り」には打ってつけです。
③オランダ語の基礎 文法と練習/著者:クレインス桂子、クレインスフレデリック、河崎靖
前述の二冊に比べて、文法事項の説明により多くのページが割かれている印象です。
付属CDの音声も、学習者に対する手加減が少なめで、ナチュラルスピードのオランダ語に近いと言えます。 オランダ語の概要を掴むだけでなく、基礎をしっかり固めたいという人には必読の書です。
- 中・上級者編
①オランダ語の基本 入門から上級の入口まで/著者:清水誠
老舗語学系出版社、三修社から出版されている比較的厚めの本です。
現在日本で出版されているオランダ語の教科書の中では、文法の説明が最も詳しいと言えるでしょう。
オランダ語学習歴が長い僕も、本書の解説を読んで新たに学んだことは少なくありません。
ただ残念なのは、付属音源(mp3)の音声が、各課冒頭の例文しかカバーしていないことです。
同社から出版されている「スウェーデン語の基本」と同様、各課の解説に挙げられている全ての例文を吹き込んでもらいたかったです。
②中級オランダ語 表現と練習/著者:クレインスフレデリック、クレインス桂子
タイトルには「中級」という文字がありますが、上級者の要求にも十分に応えられる実践的な内容です。
本書で扱っているスキットは長めのものが多く、オランダの地理・文化・歴史・社会問題に対する総合的な理解を深めることができるような構成になっています。
また、会話文とモノローグがバランスよく配置されており、学習者を飽きさせないように工夫されています。
僕自身は、このテキストに付属しているCDを使って何度も音読の練習をしたことにより、オランダ語の音が体に馴染むようになりました。
現在日本で刊行されているオランダ語の教材としては、最高峰だと思います。
③講談社オランダ語辞典
オランダ語の教材ではありませんが、中級以上を目指す人に全力でお勧めしたいのが、本書。日本で刊行されている唯一のオランダ語の辞書です。 以前はオランダ語の学習者は蘭英辞典に頼らざるを得ませんでしたが、この辞書が刊行されたことによって、オランダ語の学習環境が、英語やドイツ語、フランス語やロシア語といった他のメジャーな外国語の学習環境に大きく近づいたと言えます。
オランダ語の本を使って、語学力をアップさせよう
以上、オランダ語の勉強にお勧めの本を紹介しました。
ここで紹介した本を使って勉強することで、楽しく効率よくオランダ語の実力を向上させることができます。
自分に合った本を購入し、ぜひ飽きることなく継続して勉強していきましょう。